なぜ点検をしなければならないのか?

クレーン車所有事業者の年次点検の義務について

クレーン等安全規則第76条

事業者は、移動式クレーンを設置した後、一年以内ごとに一回、定期に、当該移動式クレーンについて自主検査を行なわなければならない。ただし、一年をこえる期間使用しない移動式クレーンの当該使用しない期間においては、この限りでない

関係法令抜粋

自主検査の結果を記録し、これを3年間保存しなければならない。
(クレーン等安全規則第79条)
自主検査又は点検を行なった場合において、異常を認めたときは、
直ちに補修しなければならない。(クレーン等安全規則第80条)
定期自主検査、及び自主検査の記録、作業開始前の点検、
及び補修 ~中略~ 等の規定に違反した者は50万円以下の罰金に処する。
(労働安全衛生法第120条)

クレーン等の定期自主検査について

労働安全衛生法と同法に基づくクレーン等安全規則により、事業者は、クレーン等を設置した後に、1年以内ごとに1回及び1か月以内ごとに1回、所定の項目について、定期に自主検査を行うことが義務づけられています。

検査の対象となるクレーン等
  • つり上げ荷重0.5t以上の全てのクレーン
  • つり上げ荷重0.5t以上の全ての移動式クレーン
  • その他クレーン等安全規則の適用を受けるデリック、エレベーター、建設用リフト及び簡易リフト
定期自主検査の実施方法
  • 所定の検査項目について点検を実施し、その記録を3年間保管します。
  • 検査項目、検査方法及び判定基準は「定期自主検査指針」(厚生労働省告示)で公表されています。
  • 自主検査を実施する場合、法定の資格は必要とされていませんが、事業者は、教育カリキュラム等を定めた「定期自主検査者安全教育要領」(厚生労働省通達)に基づいた教育(定期自主検査者安全教育)を検査者に実施するよう勧奨されています。
移動式クレーン定期自主検査安全教育の実施

日本クレーン協会では、厚生労働省の指導を受け、事業者に代わって「定期自主検査者安全教育実施要領」に基づいた下記の「定期自主検査者安全教育」を定期的に開催しています。

  • 移動式クレーン定期自主検査者安全教育
  • 移動式クレーン、トラック積載形クレーン、クレーン機能を備えた油圧ショベルのクレーン部分の定期自主検査
定期自主検査実施済みステッカー

日本クレーン協会の実施する「定期自主検査者安全教育」を修了した方が自主検査を実施する場合、クレーン協会発行の「検査済みステッカー」を貼付することが出来ます。ステッカーの貼付は法令で義務付けられたものではありませんが、整備不良等によるクレーン等の災害防止に活用していただいています。

年次点検実施によるメリット

事故防止

特定自主検査を実施して、労働災害につながるような不具合箇所が発見されたという例が多数報告されております。特定自主検査を実施しなかった場合に起きた事故、「メンテナンス不良による故障」を未然に防ぐことが出来ます。

会社のコンプライアンスの向上

労働災害の原因が、事業者自身の怠慢によるものだとすれば、社会的な信用は失墜してしまいます。また、被災者への賠償は高額となるケースもあり、さらに刑事責任を問われる場合も起こります。

コストダウン

一年に一度、特定自主検査で整備された高所作業車、穴掘建柱車、フォークリフトなどは、行き届いたメンテナンスにより長持ちします。

オイル交換、フィルターの交換などの定期的にメンテナンスを行うことで、費用がかかっていますが、特定自主検査をおこたった怠った高所作業車、穴掘建柱車、フォークリフトは、その後の整備・修理費、ダウンタイムによる代替保証費などの出費が重なり、非常に大きな損失となってしまいます。

年に一度の特定自主検査で傷や摩耗、性能低下などの不具合箇所をみつけて早く修理すれば、それだけ修理費が安くなり必要以上の出費・損失を抑えることが出来ます。

作業事例

ユニック車の点検・作業の詳しい作業事例です。